製造業エンジニアの道

自分を伸ばし、会社を伸ばす自己革命

質問力を磨くと影響力がアップする

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エンジニアにとってだけではなく、企業人というか組織人であれば”質問力”は大きな力を発揮する。

 

会議で説明を受けたり、セミナーで講習を聞いたりした後に質問をするには、実はよく聞いていないと、しっかりとした質問は出来ないものだ。

 

傍から見ていて、するどい質問をする人は仕事が出来る人に見えたりもする。

 

会議の場の説明もセミナーでの講習も、その目的は、何かを伝えたい人と伝えられたことを活用したい人とのコミュニケーションであり、情報のマッチングの場なのだ。

 

コミュニケーションの場である限り、それは建設的なものである方が好ましい。

 

話し手から見ると、その話は誰かに何かを伝えるためのものである。もちろん、聞き手にとってプラスになることを願いながら話すのだ。

 

そして、聞き手はその伝えられようとすることを自分の中で活かせるのかどうかを判断しながら聞く。そして活用できそうなのであれば、本気で活用することを考える。

 

最終的には聞き手の目的を満足させられるかどうかが、最大のポイントになるのだが、このとき、聞き手側の質問力がこのコミュニケーションの成否のカギを握る。

 

まあ、元の話が支離滅裂だったり、理解しづらい話であったり、そもそも何を話そうとしたのかを質問せざるを得ないような場合は論外だ。元の話がある程度の品質であることを前提にしている。

 

一生懸命に報告書を作って偉い人に報告したら、ケチョンケチョンになって帰ってくるケースは、そもそも何のために報告してんだ、みたいなことも多く、これはこれで立場によって見ている景色、目的レベルの差があって話がかみ合わないことを示しているかもしれない。

 

これもある意味では、もっと視野を広げろとか、目的意識をしっかり持てというアドバイスなのだが、このケースは今回の話からは除外する。

 

”質問”とは、話し手の意図や話の本質を突き止めて、それを自分に役立てるための知識にするための手段である。

 

細かい所が気になることもあるし、挙げ足を取ってみたくなることもある。それも質問として必要なこともあるが、細かいことだけに終始しないことだ。

 

大きな目的、その話の目指すところ、そして自分としての大きな目的を常に念頭において、なぜなぜを自分と相手にぶつけるのだ。相手の話と、自分の目的のギャップを埋めて行って自分で使えるようにすることが大切だ。場合によっては、話し手側が気づかなかったことを気づかせてあげることにもなり、建設的なコミュニケーションとなる。

 

私が行っている研修の中で、最近買ったもの(一万円以上の比較的高価なもの)について、二人でペアになって相手がその購入品をなぜ買ったかを聞き出す演習を行っている。

 

ある人は、買いたいと思い始めてから長い間悩んで決断するケースもあるし、ある人は奥さんから背中を押されて決断する。衝動買いするという人もいるが、この研修の場合は、いくらかの悩みや葛藤のあとに購入したものを選んでもらう。

 

買った方がいいかもしれないと思い始めたきっかけ、徐々に心が動いていく段階、買うべき候補を探し出す瞬間、決定基準がなんとなく決められていく段階、など、過去を振り返ってもらって真の購買動機にたどり着いてもらうための質問をしていく練習だ。

 

実は人間が何かを買うということには、いろんな購買動機があって、様々な葛藤や周囲の人たちの何気ない影響を受けている場合が多い。ただ、時間が過ぎ去ってみると、思い出せないことも増えていく。

 

エンジニアのためのマーケティング思考力の演習なのだが、実はなかなか購入者の真実にはたどり着けないケースが多い。

 

15分くらいずつの時間で聞き取ってもらって、相手の購買動機を聞き手が他の人にも説明する。他の参加者が、説明の後に聞き手に対して購入者の購買動機について追加質問をすると、それは聞きませんでした、という答えがたくさん返ってくる。

 

さらに、質疑後、購入した人に対して、言いたいことは全部聞かれて、それを言いきることが出来ましたか?と聞くと、実は、xxxのことを言いたかったんです、となる。

 

聞き出すというのは頭を使うことでもある。直接的に聞きたいことをリストアップして順番に聞いていけばいいということではない。話し手側の記憶や考えを刺激することによって、心の奥深くにある本当の答えを話せるようにしてあげることも重要だ。

 

研修では、スマホの購入を題材にする人が多い。故障したこときかっけに購入した。二年縛りのタイミングだった。子供が進学したのを機に家族で購入した。など、様々な理由がある。

 

ただ、自分にも経験があるが、ひとつの大きな理由が考え始めのきかっけではあるものの、その後、実は色んなことを考え始めるのだ。

 

iOSにするかAndroidか?誰々さんと誰々さんは最新のXXを持ってるし、YYさんはアレを使っている。ZZさんは機種Aについてこんなことを言ってたっけ。格安スマホってどうなんだろう?Kさんが使ってたあのアプリは便利そうだった。電子マネーは?ウォッチとの連携は?これまで溜めてきた大手キャリアのポイントはどうなる?家族はどう思っているか?

 

などなど、実は時系列でいろいろと考えながら、自分なりにひとつひとつに決着したり、先送りしたりしながら、決定基準を探していたのだ。奥さんの意見をどう扱うかなどもあるかもしれない。

 

演習の初めに、スマホの購入動機というお題を与えられたときは、大きな理由しか思い出さないかもしれないが、質問者からの質問によっては色んな葛藤が呼び起こされることもある。

 

実際のマーケティングでは、こういう購入に至る奥深い思考のストーリーが重要なのだ。

 

優秀な営業マンは実に話がうまい。上手に話をしながら何気に重要な情報を聞き出している。

 

最初の話に戻ると、会議やセミナーの場でも同じことだ。表面的な質問には表面的な答えしか返ってこない。

 

しかし、相手の思考を刺激して、双方にメリットのある建設的な質問によって、自分自身が相手からの情報をしっかりと消化するだけでなく、話し手や周囲の人にも影響を及ぼす情報に進化させることができる。

 

会議で声が大きいやつが、対して実力もないのに出世する、なんて思っている人もいるかもしれない。声の大きい奴は確かに目立つ。

 

でも、もしかすると、声だけが大きいのではなく、質問が上手なのかもしれない。

 

報告書でケチョンケチョンにした上司。実は物事の本質を見抜く力、質問力でやはり普通の人たちよりも上手なのかもしれない。

 

会議での発言、つまり”質問力”を見くびってはいけない。会社での周囲への影響力を高め、重要な仕事を任されるためには、どうしても必要な能力だと思う。

 

参考:

note.mu

 

futureship.biz