自分のことは自分で守る
企業の中で働いていると、特に日本では終身雇用の考えが多くの人の根底にあるからなのか、会社が自分のことをいつまでも守ってくれるのだと、大きな勘違いをしている人が多いようだ。
何となく、組織の一員として組織の中で働いていると、帰属意識は日に日に強くなっていくということもあるだろう。
いつか、自分一人で生きていかなければならないなどと、考えも及ばないかもしれない。
終身雇用ということが、少しずつ崩れてきて、もしかしたらようやく気づき始めている人もいるかもしれないが、会社はすべての社員を守ってはくれない。
会社は会社を守ることで手一杯なのだ。
だから、会社に絶対必要な人間はそれなりに守ろうとするが、会社に必要な人間かどうかも、ある一部の人間が決めているだけなので、それすらも絶対ではない。
リストラなんて言葉が使われるようになったのは、この15年くらいではないだろうか。
それまでは、一旦会社に入れば、定年まで自分で辞めない限りは働き続けられると想っていたのが、会社都合でやめなければならないことが当たり前に起こるようになった。
また、寿命が延びて人生100年時代と言われる中で、60歳で定年を迎えて楽隠居なんていうことも出来ない。
若い人は、あまり意識していないかもしれないが、長い人生を生きていくためには、60歳を過ぎても、経済的にまだまだ働かなければならない人が多いことも確かだし、また、まだまだ働くべきだ。
雇用延長などが議論されているが、そんなのを待ってるのではなく、自分で自分の将来を切り開いていかなければならない。
もちろん、定年後のことなんて、会社は考えてくれない。
自分のことは自分で守る、あるいは自分でしか守れない、ということを早いうちに気づいて欲しい。
いつどうなるかわからない変化の激しい時代ということもあるし、長い人生の先の先を考えて欲しい。
60歳定年を迎える人の多くは、58歳くらいになって、ようやく第二の人生を考えるという人が多いそうだ。その時になって、会社を出た時の自分の社会的価値を計ろうとして、人材会社に駆け込んで再就職の可能性を見ようとし、その結果、厳しい現実に愕然とするのだそうだ。
会社に守られているように錯覚するのは恐ろしいことだと思う。
会社は絶対に個人を守らない。
守るように出来てないんだからしょうがない。
会社依存になっていないかチェックしてみて欲しい。
次の質問に即座に答えられるか?
Q1:10年後に何をしていたいですか?
Q2:世間で通用する自信のコア・コンピタンスは何ですか?
Q3:60歳になっている自分を想像できますか?
Q4:誰々のようになりたいという目標がありますか?
Q5:あなたの人生の目的と目標は何ですか?
5つの質問で一つでもはっきりと答えることができれば救いがあるが、もし一つも答えられないとしたら、それは完全に会社、あるいはそれ以外の何かに依存しすぎている。
まずは、自分の状況をしっかり見直そう。棚卸ししてみよう。
自分を自分で守れないとすると、すべて流れに任せ、自分で自分をコントロール出来ない人生を送ることになる。そのうちの何割かの人たちは、あまりいい末路を迎えないだろう。
野生の鳥だって、巣立ちをすれば親は守ってくれなくなり、自力で生きていく。
人間の世界、特にサラリーマンの世界では、この生態系が全く出来ていない。
会社での日々の活動は、ある程度自分を隠して組織としての活動をしなければならないだろうが、本質的なところで自分の生き方を自分なりに持って、自分のことは自分で守れる人間になって欲しい。
5年くらいあれば、あるいは人によっては1年でも、自分で生きていく準備ができるはずだ。
私自身は、もともと起業することは早くから意識していたのと、コンサルタントになることも比較的早くから決めていたが、実際に起業の準備を始めてから1年半で起業し、順調にスタートすることができた。
一つのヒントは、起業、あるいは独り立ちしようとしている人たちと仲良くなることだ。会社の中ばかり見てないで、外に目を向けよう!