製造業エンジニアの道

自分を伸ばし、会社を伸ばす自己革命

エンジニアにマーケティング脳力をつける大改革

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マーケティング」って言葉は、色々な場面で使われるが、「マーケティング」って何かって、周りの人たちと話をしてみて欲しい。

 

おそらく、様々な意見が出てきて、いったい何が正解なのか、という状況になるのではないかと思う。

 

今、ここで正解を披露しようとか、求めようとかというつもりはない。

 

ただ、「マーケティング」って何かを自分自身で問いただしてみて欲しい。

 

私が考える「マーケティング」(決してっこれが正解と主張するつもりはない)は、”製品、商品をたくさん買ってもらうためのすべての活動” だと思っている。

 

販路を考えること、ビジネスモデルそのもの、顧客に受ける製品を開発すること、販売ターゲットの狙いを定めてメッセージを届け、販売行動を促進すること、などなど、ありとあらゆることだと思う。

 

NHKの朝ドラ「まんぷく」で、カップラーメンという画期的な製品を開発したものの、なかなか市場に受け入れられなかったときに、いわゆる主婦造から、若者の新しい生活スタイルにターゲットを変えて、歩行者天国で歩きながら食べる文化を提案したのも、マーケティングだ。

 

さて、日本の製造業は、この「マーケティング」をしっかり出来る組織を持っているのだろうか。

 

大量生産で成功した日本企業は、そこから、それぞれの企業の既存事業を様々な形で守り続けている状態ではないだろうか。

 

既存事業、既存商品では、ある競合状況のなかで、たまに入ってくるそれほど強くはない新規参入という脅威と戦いながらも、既存商品の少し進歩した商品企画をすれば、それほど大きな差異もなく計画を達成し、従来並みの収益を継続できるので、特に新たなチャレンジをすることもなく、長い間、既存事業というぬるま湯につかって事業を継続してきた企業が多いように思う。

 

代替え商品、買い手や売り手の脅威も、多少はあるものの、概ね無難な経営をしてきた結果、本来のマーケティングという機能を発達させる必要がなかったのではないかと思う。

 

そう、日本の製造企業から、「マーケティング」機能の必要性が退化していったのではないかと私は考えている。

 

リーマンショック以降、日本企業も最悪の状況は脱し、そこそこの状況にあるように見える反面、実は日本企業初のヒット商品は鳴りを潜め、製造業の経営状態は見た目以上に悪化している。

 

そう、新規事業や新製品が出てこないのだ。

 

既存事業をキープしつつ、既存事業の効率を高め、人員を新規事業にある割合でシフトして、新たな事業の柱を作るんだ!!と、経営者は同様に息まく。

 

言うは易しだ。理屈は誰もが納得だが、だれが実行し実現するのだ?!

 

日本企業から、マーケティング脳力の種さえも失われていて、号令だけかけてもまったく意味はない。

 

俺たちは飛んだ技術を開発するのが仕事だ! 市場で受ける製品を考えるのは営業や企画の仕事だ!なんて言ってる会社は、早々に市場から消えていくだろう。

 

まず、開発、営業、企画、製造など、機能組織に分かれた人員全員の意識改革が必要だ。

 

「製品」を軸にした思考をすぐに停止せよ。

 

これは、存外難しいことだと、私は思う。

 

長年、積み重ねた悪しき習慣はそう簡単には治らない。

 

マーケティング」つまり、製品をたくさん買ってもらうには、顧客中心の考え方に回帰する必要がある。当たり前のことだ。

 

でも、この当たり前ができなくなっている自分たちの状態に早く気付くべきだ。

 

顧客視点という言葉は、企業内に氾濫している。だから、自分たちはちゃんとやってると誤解してしまうのだ。

 

自身の思考を思い起こしてみよ。製品のことを頭から完全に切り離して、顧客のことを真剣に考えているか?

製品の機能が、頭の中から切り離されているか?

 

顧客が製品を目の前にしている姿以外の、顧客の行動をストーリーとして捉えているか?

 

顧客の直接の声だけを聞こうとしていないか?

 

顧客が、顧客自身も気づいていない進化への欲求を発見しようとしているか?

 

顧客が、実は製品よりも、自分がしたいことに応えてくれる”何か”を求めていることを感じているか?

 

その思考の軸を変えない限り、製品軸の思考は変わらないだろう。

 

マーケティングの基本的な考えは、顧客第一だと思っている。

 

顧客も気づかない顧客の”なすべきこと”、”進化への欲求”を、製品とは関係ない世界でみつけること、これが出発点。

 

そして、次に「技術」。顧客の進化への欲求と「技術」を結び付けるのだ。

 

実は、この作業ができるのは、私はエンジニアだけだと思っている。なので、エンジニアこそが、「マーケティング」脳力を向上させるべきだと信じているのだ。

 

そして、顧客と技術を結び付けること以上に、もっとも重要なのは、「マーケティング」の最も重要な目的が、”儲ける”ことであるということだ。

 

そう、顧客と技術、そしてそれらより重要なのが、”儲ける”ことなのだ。

 

この3つのファクターをバランスよく成し遂げるのが、「マーケティング」なのだと思う。そこに既存製品をベースにした思考方法は入り込む隙はないのだ。

 

製造企業で、新規事業や新製品で大改革、あるいは大きなイノベーションを目指すのであれば、エンジニアのマーケティング脳力を向上させなければならない。

 

それが、最も有効な方法である。