製造業エンジニアの道

自分を伸ばし、会社を伸ばす自己革命

個人の成長のスピードを上げる疑似体験

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「ローマは一日にして成らず。」

 

組織の成長も個人の成長も、それなりに時間が必要だ。

ただ、組織改革と個人の成長とでは、時間軸が異なるかもしれない。

 

個人の成長は、もちろんその人次第ではあるが、組織改革に比べると、早く結果に表れるものだ。

また、組織改革は、組織を構成する人のレベルや成長度合いに大きく依存するので、まずは、個人の成長が先に来るべきなのかもしれない。

 

個人の成長を促すのは、”知識”と”考える力”であって、この2つが両輪となって、個人は成長するものと思っている。

 

知識は勉強すればするだけ身に付くものだ。

でも、考える力はそうはいかない。

 

考える力は、鍛えることが出来るが、考える力を鍛える方法についての指南書は、あることにはあるが、読んでもあまり役に立たないかもしれない。

 

そう。理論と実践が必要だからだ。

 

考える力は、持って生まれた才能である部分もある。

学校で良い成績の人が、必ずしも考える力があるとは限らない。

 

記憶力だけで成績のいい人って身近にいたことを思い出す。

 

では、知識を増やしながら、考える力を強化していくのが個人の成長だと仮定したとして、どのくらいのスピードで人は成長できるのだろうか。

 

例えば、技術者として、本当にお客さんが喜んでくれる製品を開発したいと思って、だから、マーケティングも勉強したいと、フィリップ・コトラーのSTPマーケティングを本で読んだとしよう。

 

言ってることは共感できる、とそれで終わってしまっては、知識は増えたことになるが、考える力は強化されていない。

 

自分事として、自分が関わる製品のセグメントを定義し、自社の強味を活かすためのターゲットを決め、自社製品の市場でのポジション、訴求ポイント、競合との違いを明確化して、実際に新しい製品の企画をして市場評価を受けるという一通りのことをやってみたときに、その知識が自分の実になって、考える力になったと言えるのだ。

 

ただ、全部が全部リアルに実践するのは、難しい場合も多い。

 

疑似体験ができる演習やワークショップをやることで、リアルな経験を置き換えることが出来ると私は思っている。

 

リアルな経験にはかなわないかもしれないが、疑似体験、ワークショップは個人の成長に、とても重要だと考えている。

 

書籍を読んだ後に、どうやって疑似体験をするかを考えると、読書から知識を溜めるだけでなく、考える力にまで発展させることも出来る。

 

リアルな経験や疑似体験は、自分で考えるチャンスをくれるのだ。

 

理論や手法は、理想的な環境の中で論じられることが多い。

だから、実際に応用しようとすると、現実的な障害で実現できないことがある。

 

例えば、(あまり良い例ではないかもしれないが)ラズベリーパイ(超小型マイコン)を使って、ロボットを作れるという書籍を買って、その通りにロボット作ってみたことがある。

本の通りにやってみるが、ところどころ本の通りに行かないことがある。

 

ちょっとした環境の違い、例えば、ソフトウェアのバージョンの違いなどだ。

 

でもって、うまく行かない状況は自分で解決しなければならない。

これが実践だ。

 

このとき、たくさんのことを考えなければならない。頭の中で、なぜ、うまく行かないんだと真剣に考える。

有識者に聞いたり、ネット上の情報を検索しまくったり、本の状況との違いを自分なりに工夫して調べたりする。

 

これが、実践であり経験だ。そして、ここから考える力が身に付いていく。

書籍を読んだだけでは、うん、この程度のことでロボットが作れるんだな、という単なる知識であったものが、実際に作ることで、様々な問題に対処できるようになった自分が出来上がるというわけだ。

 

ロボットの話はあくまで例にすぎない。

(実際に私自身の経験で、これが結構難しい問題にもはまったのだが、本当にいい経験だったと思っている。)

しかし、この実践の重要さは、さまざまなことに当てはまる。

 

知識を得たなら、それをどんな形でも構わないので、それをやってみるという考え方を少し持つだけで、個人の成長のスピードは格段に上がる。

 

だから、私のコンサルタントしての信念は、いっしょに勉強しながら必ず演習で疑似体験を入れることだ。

 

個人の成長は、個人次第だ。

自分を守るのは自分しかいない。

でも、学習方法や学び方は選ぶこともできると思う。

 

 

 

 

知識と能力

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知識と能力(脳力)は車の両輪だ。

両方が揃うと、大きな力になる。

 

専門書を読んで専門知識をつけるだけでは、技術者として大きな仕事はできない。

 

知識をつける方法はみんなが知っているが、能力(脳力)、つまりその知識、情報を処理する能力を高める方法はあまり知られていないかもしれない。

 

人間の脳は無限の力を持っているのだが、人間はそのほとんどを使えていないのだそうだ。

それでも、人間の脳は年令とともに退化していく。

記憶力などは、目に見えて落ちていく。

 

CPU(脳)の性能だって、年令とともに衰えていくのはやむを得ないのかもしれないが、もともと性能分を使ってないとすれば、使い方しだいで何とでもなる気もする。

 

ところで、能力(脳力)は、いったいどんな力なのだろうか。

知識を使って、新しいアイデアを創り出す力であり、知識(情報)を加工して新しいものを生み出す力であったり、情報の裏にある真実や本質を見抜く力なのだと思う。

 

このような能力は、個人個人で考えると、もともとあまり意識されていない。

 

年令とともに、知識が上がれば、そのまま能力も上がっていると思う人もいるかもしれないが、脳科学的には、ある年令以降は進歩しないのだそうだ。

 

企業の中で、全体を俯瞰する能力や決断をする能力は年配の人の方が高いように思うかもしれないが、それは知識と経験だけの差であって、能力の差ではないと言うことだ。

 

ここで、ひとつ大事なことがある。

それは経験だ。

 

経験によって、知識が増強される。

仕事のやり方もうまくなったような気がするのだが、実は、経験は時としてマイナスの効果ももたらす。

 

それ「思い込み」、「先入観」だ。

 

「思い込み」「先入観」は、人間の行動を制限する。

発想を限定的にし、恐れを生み、思考範囲を著しく狭めてしまう。

上司が慎重で、新しいことに否定的だった経験は多くの人にあるのではないか。

 

実は、「思い込み」「先入観」は、思考能力を低下させるだけでなく、企業内のコミュニケーションを悪化させる。

 

「思い込み」「先入観」は、コミュニケーションする場合の双方に違った形で存在する。だから、時として会話が噛み合わない。

 

でも、この噛み合わない会話に、企業内では打つ手があまりないのが実情だ。

 

思考プロセスに、企業内で統一した考え方が必要で、お互いの「思い込み」「先入観」があることを前提に、コミュニケーション・プロセスを構築する必要がある。

 

TOC(制約の理論)の思考プロセスは、まさにこの問題を解決してくれる。

 

組織の抵抗の6階層

  1. 対応しようとしている問題を、問題として認めない
  2. ソリューションの方向性に同意できない
  3. ソリューションが問題を解決するとは思わない
  4. このソリューションは、もし、実行するとマイナスの影響を引き起こす
  5. 提案されているソリューションの実行を妨げる障害がある
  6. その結果起こる未知のことへの恐怖感

 

これらの企業内の抵抗を解除するのが、TOCフレームワークだ。

 

知識と能力は、別の物という考えをもう一度認識し、能力の向上は思考プロセスによって大きく改善できることをお伝えしたい。

 

 

 

組織のジレンマ

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組織の中で起こる問題は、すべて組織の中にあるジレンマが原因である。

問題を起こすのは、すべて人の行動である。

これらは、TOC(制約の理論)での教えだ。

 

組織は、トップの大きな方針で運営される。

そして、トップ方針のもと、各組織はそれぞれの部門方針を決め、評価基準を設定する。

 

評価基準は、個々の人事考課に直結し、組織の中で個人が評価されるもとになるので、組織人としては、この評価基準に基づいて行動するのが当然となる。

 

ところが、この評価基準は、通常は複数(多数)設定されて、場合によってはそれぞれの間でジレンマを抱えることがある。

 

例えば、トップ方針が収益をアップする、ということにすると、その方針に従うと、ひとつの評価基準は売上向上となり、もう一つが例えばコストを下げる、ということになったとする。

 

売上を上げる行動として、在庫を増やして顧客要求にいつでも対応出来るようにする、ということと、コストを下げるために在庫を減らすという行動は、完全に対立する。

 

つまり、同じ大方針のもとで作られた2つの評価基準が、まったく異なる行動を要求することになるわけだ。

 

これが、組織の中の制約条件になる。

 

こんなことは実は組織内にたくさんある。

製造業で良くあるのは、QCD(品質、コスト、納期)目標を必達せよ、という大方針だ。

一見すると当たり前のことのように思えるが、Q、C、Dの間でジレンマが発生することは大いにありうることだ。

 

最近、多発する様々な企業でのデータ改ざん事件は、ほとんどの場合、このQCDの間のジレンマが原因である。

 

特にQとDの間、またはQとCの間のジレンマによって、データ改ざんが行われる。

 

なぜかいつもQ(品質)が犠牲になる。

C(コスト)やD(納期)は、はっきりしていて、トップに対してだけでなく市場に対しても嘘がつけない。

 

さらに、ミドルマネージャにとって、自身を評価してもらうのに、もっともアピールしやすい指標だ。

 

品質は、もちろんデータ化できるのであれば、数字で表されで明確なはずだが、この数字が市場で出回るわけではない。

さらに、データの意味が市場ではっきり理解されているわけではなく、さらには企業内においてもデータの意味が明確に理解されていない場合もある。

 

歴史的に作り上げてきた品質基準が、数字や測定方法だけが継承されてきて、数字の意味やモラルまでが継承されていないケースも多数ある。

 

コストや納期のようにはっきりしない品質基準のために、コストや納期が遅れそうになると、トップや市場からプレッシャーのかかる現場は、時として勝手な判断で品質基準を捻じ曲げてしまうことが起こってしまうのだ。

 

ドルマネージャは、多少の解釈の変更は実際の品質にも問題がないだろうと勝手な解釈に走るわけだが、それは、自分の評価を悪くしないという理由が大きい。

 

トップとしても、決して自分で改ざんを指示していなくとも、QCDのバランスと多少ゆがめても、収益拡大という最大の方針を優先させてしまう。

 

まさに構造的な問題であって、本質的な問題に手を打たない限り、同様の問題は繰り返されるだろう。

 

組織の中に悪人はいない。

 

組織のジレンマを捉えて、本質を見よう。

 

また、自分の評価だけを考えるマネージャにならないよう、本質を見抜く力を強化し続けることが、技術者に求められることだ。

 

TOC(制約に理論)は、この組織のジレンマを見抜く力をしえてくれる。

 

TOCの超入門セミナーを企画中。

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質問力を磨くと影響力がアップする

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エンジニアにとってだけではなく、企業人というか組織人であれば”質問力”は大きな力を発揮する。

 

会議で説明を受けたり、セミナーで講習を聞いたりした後に質問をするには、実はよく聞いていないと、しっかりとした質問は出来ないものだ。

 

傍から見ていて、するどい質問をする人は仕事が出来る人に見えたりもする。

 

会議の場の説明もセミナーでの講習も、その目的は、何かを伝えたい人と伝えられたことを活用したい人とのコミュニケーションであり、情報のマッチングの場なのだ。

 

コミュニケーションの場である限り、それは建設的なものである方が好ましい。

 

話し手から見ると、その話は誰かに何かを伝えるためのものである。もちろん、聞き手にとってプラスになることを願いながら話すのだ。

 

そして、聞き手はその伝えられようとすることを自分の中で活かせるのかどうかを判断しながら聞く。そして活用できそうなのであれば、本気で活用することを考える。

 

最終的には聞き手の目的を満足させられるかどうかが、最大のポイントになるのだが、このとき、聞き手側の質問力がこのコミュニケーションの成否のカギを握る。

 

まあ、元の話が支離滅裂だったり、理解しづらい話であったり、そもそも何を話そうとしたのかを質問せざるを得ないような場合は論外だ。元の話がある程度の品質であることを前提にしている。

 

一生懸命に報告書を作って偉い人に報告したら、ケチョンケチョンになって帰ってくるケースは、そもそも何のために報告してんだ、みたいなことも多く、これはこれで立場によって見ている景色、目的レベルの差があって話がかみ合わないことを示しているかもしれない。

 

これもある意味では、もっと視野を広げろとか、目的意識をしっかり持てというアドバイスなのだが、このケースは今回の話からは除外する。

 

”質問”とは、話し手の意図や話の本質を突き止めて、それを自分に役立てるための知識にするための手段である。

 

細かい所が気になることもあるし、挙げ足を取ってみたくなることもある。それも質問として必要なこともあるが、細かいことだけに終始しないことだ。

 

大きな目的、その話の目指すところ、そして自分としての大きな目的を常に念頭において、なぜなぜを自分と相手にぶつけるのだ。相手の話と、自分の目的のギャップを埋めて行って自分で使えるようにすることが大切だ。場合によっては、話し手側が気づかなかったことを気づかせてあげることにもなり、建設的なコミュニケーションとなる。

 

私が行っている研修の中で、最近買ったもの(一万円以上の比較的高価なもの)について、二人でペアになって相手がその購入品をなぜ買ったかを聞き出す演習を行っている。

 

ある人は、買いたいと思い始めてから長い間悩んで決断するケースもあるし、ある人は奥さんから背中を押されて決断する。衝動買いするという人もいるが、この研修の場合は、いくらかの悩みや葛藤のあとに購入したものを選んでもらう。

 

買った方がいいかもしれないと思い始めたきっかけ、徐々に心が動いていく段階、買うべき候補を探し出す瞬間、決定基準がなんとなく決められていく段階、など、過去を振り返ってもらって真の購買動機にたどり着いてもらうための質問をしていく練習だ。

 

実は人間が何かを買うということには、いろんな購買動機があって、様々な葛藤や周囲の人たちの何気ない影響を受けている場合が多い。ただ、時間が過ぎ去ってみると、思い出せないことも増えていく。

 

エンジニアのためのマーケティング思考力の演習なのだが、実はなかなか購入者の真実にはたどり着けないケースが多い。

 

15分くらいずつの時間で聞き取ってもらって、相手の購買動機を聞き手が他の人にも説明する。他の参加者が、説明の後に聞き手に対して購入者の購買動機について追加質問をすると、それは聞きませんでした、という答えがたくさん返ってくる。

 

さらに、質疑後、購入した人に対して、言いたいことは全部聞かれて、それを言いきることが出来ましたか?と聞くと、実は、xxxのことを言いたかったんです、となる。

 

聞き出すというのは頭を使うことでもある。直接的に聞きたいことをリストアップして順番に聞いていけばいいということではない。話し手側の記憶や考えを刺激することによって、心の奥深くにある本当の答えを話せるようにしてあげることも重要だ。

 

研修では、スマホの購入を題材にする人が多い。故障したこときかっけに購入した。二年縛りのタイミングだった。子供が進学したのを機に家族で購入した。など、様々な理由がある。

 

ただ、自分にも経験があるが、ひとつの大きな理由が考え始めのきかっけではあるものの、その後、実は色んなことを考え始めるのだ。

 

iOSにするかAndroidか?誰々さんと誰々さんは最新のXXを持ってるし、YYさんはアレを使っている。ZZさんは機種Aについてこんなことを言ってたっけ。格安スマホってどうなんだろう?Kさんが使ってたあのアプリは便利そうだった。電子マネーは?ウォッチとの連携は?これまで溜めてきた大手キャリアのポイントはどうなる?家族はどう思っているか?

 

などなど、実は時系列でいろいろと考えながら、自分なりにひとつひとつに決着したり、先送りしたりしながら、決定基準を探していたのだ。奥さんの意見をどう扱うかなどもあるかもしれない。

 

演習の初めに、スマホの購入動機というお題を与えられたときは、大きな理由しか思い出さないかもしれないが、質問者からの質問によっては色んな葛藤が呼び起こされることもある。

 

実際のマーケティングでは、こういう購入に至る奥深い思考のストーリーが重要なのだ。

 

優秀な営業マンは実に話がうまい。上手に話をしながら何気に重要な情報を聞き出している。

 

最初の話に戻ると、会議やセミナーの場でも同じことだ。表面的な質問には表面的な答えしか返ってこない。

 

しかし、相手の思考を刺激して、双方にメリットのある建設的な質問によって、自分自身が相手からの情報をしっかりと消化するだけでなく、話し手や周囲の人にも影響を及ぼす情報に進化させることができる。

 

会議で声が大きいやつが、対して実力もないのに出世する、なんて思っている人もいるかもしれない。声の大きい奴は確かに目立つ。

 

でも、もしかすると、声だけが大きいのではなく、質問が上手なのかもしれない。

 

報告書でケチョンケチョンにした上司。実は物事の本質を見抜く力、質問力でやはり普通の人たちよりも上手なのかもしれない。

 

会議での発言、つまり”質問力”を見くびってはいけない。会社での周囲への影響力を高め、重要な仕事を任されるためには、どうしても必要な能力だと思う。

 

参考:

note.mu

 

futureship.biz

 

 

 

自慢する文化を作ってA3報告書を書く

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グローバリング(株)の稲垣社長と協業しながら、企業向けの製品革新コンサルをやる中で、トヨタ式として知られている「A3報告書」の文化を作ることを指導している。

 

A3報告書は、トヨタで使われているということで有名だが、実は1970年代、80年代にTQCが日本で流行ったころは、多くの企業で採用されていた。

 

問題解決や提案などを、必ず一枚のA3にすべてを書ききる形で、一枚にまとめるため、無駄なことを省き、読み手がわかりやすいように、起承転結をしっかりとさせて、ストーリーのように書くことで、自分自身の考えもしっかりとまとまり、何よりも上層部の方に短時間で誤解なく理解いただけるというものだ。

 

ところが、最近我々が目の当たりにするのは、メーカー企業でも報告書の質が大きく低下していることである。

 

私が会社に入ったころは、技術者の仕事は、

  • 図面を書くこと
  • 報告書を書くこと
  • イデアを出すこと(特許など)

だと教えられた。

 

このうち、報告書を書くことが、技術者の仕事から優先度が大きく下がっているようだ。

 

ひどい例では、社内の報告にパワーポイントを多用している場合だ。

パワーポイントは、好きな枚数を使って、好きなことを好きなだけ書けると思っているのかもしれない。

 

私も、上司としてパワーポイントでの報告を受けることがあったが、報告を聞いている途中で何を言いたいかがわからなくなり、「あと何枚説明するつもりだ?」と嫌味を言ったことが何度かある。

 

パワーポイントの報告を禁止しようとしたこともあったが、大きな組織で、全体の賛同が得られなかった。

 

A3報告書は、自身の理解を深めさせる、上司への報告を簡潔化させ、かつ誤解を最小にする効果があるが、それ以外にも、本人の論理思考力を向上させる効果があることと、実は一番大事なのは、組織内のコミュニケーションを活性化させるのだ。

 

A3報告書、あるいはA3マネージメントといったほうがいいかもしれないが、これは書き手が書いたらおしまいではなく、書いたときから、その報告書を使って上司とのコミュニケーションが始まるのだ。

 

上司と内容やストーリー、不足していること、方向性が違っていないかなどをQ&Aのキャッチボールをしながら、報告書をブラッシュアップしていくのだ。

 

さらに、上司以外の仲間などとも共有し、さらにいいものにしていく中で、仕事の進め方、方針などについて議論を深め、皆が同じ方向を向くように仕向けていく。場合によっては、そのコミュニケーションから新たなアイデアも生まれる。

 

それが、A3マネージメントであり、A3文化なのだ。

 

この文化を作っていくには、トップマネージメントの強力な後押しが必要だ。

今、改革を進めている企業では、トップから強力なお墨付きをいただいてA3文化作りを進めている。

 

しかし、それでも、まだ越えなければならない壁がある。

 

仕事のやり方、つまりプロセスも変えなければならなかもしれない。

 

そもそも、報告書を書く優先度が下がっているのは、図面やソフトウェアのコードを書く、つまり設計作業が何よりも優先し、かつ、その次は日々の雑多な仕事、根回しや会議などで忙殺され、報告書を書く時間がないというのが原因になっているからだ。

 

報告書を書くのは時間もかかるし面倒だ。口で言えば済むではないか、というのが、多くのベテランの意見のようだ。

 

このままでは、組織内の暗黙知が埋もれていく。若手が伸び悩む。そして、企業内のコミュニケーションが希薄になり、新しいコンセプトが生まれない、つまらない会社になっていってしまう。

 

危機感を持ってほしい。

 

さて、ひとつ秘策がある。

自分の若いころを思い出してみた。

忙しい中にも、自分で好きなことをやっているという気持ちも持てていたので、忙しさは苦にはなっていなかった。

 

そして、自分で考えて、自分でチャレンジしてみた実験結果やアイデア検証については、やった後に、早く誰かに報告したいという気持ちが芽生え、早く、しかも上手に報告書を書きたいと思っていたことを思い出した。

 

直属の上司だけではなく、他の組織の人や同期の仲間などにも、自慢したかったのかもしれない。

 

そうだ。「自慢」する文化を作ればいいのだ。

 

自慢する、つまり自分の仕事が大好きで、そして誇りを持てる。これ、ものすごく大事なことだ。

 

そのために、まず、好きなことをやらせる時間を少しずつでも作ることだ。

いくつかの企業で取り入れているのは、20%ルールなどと名付けて、業務時間の20%は、通常業務以外の自分の好きなこと(いずれ会社の役に立つなどの縛りは必要だが)をやるというものだ。

 

私もこれを進めたことがある。ただ、今まで長い間、与えられた仕事しかしてこなかった向きには、何をやったらいか迷うケースもある。

 

何人か選んで、多くの人が興味を持てそうなテーマをピックアップして、リーダーを立て、この指とまれ方式で、まず、業務から離れること、好きなことを見つけるという習慣を身につけさせる必要もあるかもしれない。

 

人に自慢したくなる報告書、これがキーワードだ。

 

そして、定期的に自慢大会をやって、トップがご褒美を出してもいい。

 

文化を変える、それも大きく変えることは、意外に小さな行動から始まるかもしれない。

 

  

「稼げる」エンジニアとは?

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エンジニアが「稼ぐ」とはどういう意味か?

 

誰だってお金は欲しい。

サラリーマンであっても、できるだけたくさん給料が欲しいと思っているはず。

しかし、いくら欲しいかと聞かれると答えに困ってしまわないだろうか。

 

周りの人よりも少し多めがいいとか、もしかするとその程度の願望か。

 

エンジニアとは、ある意味、特殊な才能を持った(持っているはずの)言わばタレントだ。

でも、貪欲に稼ごうとするエンジニアをあまり見たことがない。

 

もちろん、大儲けしたい、ビッグになりたいと起業する人も日本でも増えてきているが、サラリーマン・エンジニアを見ている限りは、平均的な状況に満足とは言わないまでも、あえてそこから状況を変えようとはしていない。

 

極論すると「稼ごう」としていない、と言えるかもしれない。

 

一方、エンジニアを雇っている企業の経営者からみると、エンジニアは企業に利益をもたらす大切な人材だ。

だから、少なくともエンジニアは稼いでいる。

 

しかし、たくさん稼げるエンジニアとそんなに稼いでいないエンジニアはいる。

 

そう、簡単な話で、稼げる人も稼げない人も、それなりの給料がもらえるように、均等に利益を配分している。

 

もちろん、貢献度の違いを査定して昇給や賞与で差をつけるが、稼げるエンジニアがその稼ぎに見合った給料をもらえることはない。

 

これが資本主義と言えばそれまでだが、その資本主義という制約を百歩譲って認めた上で、それでも最終的に自分の給料を上げるにはどうしたらいいか、これを考えてみよう。

 

サラリーマンの給料を上げる方法

 

いずれ独立したいという考えは、ここでは置いておいて、サラリーマン・エンジニアを続ける前提で、どうやって高い給料をもらえるようになるか、これは3つの方法があると思っている。

  1. 高い地位に就くこと
  2. 高い給料をもらえる会社に転職すること
  3. 会社の業績を上げること

当たり前のことだ。

これらについて、一人一人のエンジニアが貪欲に、そして戦略的に取り組んでいれば、もしかすると3の会社の業績は顕著に上がって、企業全体の平均給与が大幅に上がるのかもしれない。

 

現実にはそうはいかない。なぜだろう?!

 

もちろん、全員が高い地位には就けない。つまりポストは限られていて、企業内競争があるということもある。

でも私は、2と3のやり方を変えることができれば、世の中は大きく変わるように思う。

 

2は、決してネガティブに捉える必要はない。

転職するエンジニアが増えることは、社会にとってプラスだと思う。

今の日本の終身雇用制度は、日本企業の甘えを増長させると思っている。

個人が強くなることで、会社と個人の契約関係をもっと対等に近い契約関係に変えていくことで、企業はもっと社員と真摯に向き合うようになる。

 

もちろん個人も、他社から高い給料でオファーをもらうためには、世の中で通用する技術力なり、ビジネス力なり、何らかの強味を持ってそれをアピールできなければならない。

 

そう、これがエンジニアの一つ目の「稼ぐ」力だ。

 

エンジニアが稼ぐためには、個人力を伸ばし続ける。戦略的に自分の強味を作り、強化していかなければならない。

しかし、忙しいエンジニアは、この戦略的な自己強化が出来ていないのではないだろうか。

 

「忙しすぎる。」

これも、もしかすると言い訳になってしまう場合もある。

「自分のやりたいこと」と「自分が出来ること」、そして「伸ばしていきたいこと」が一致しているエンジニアは意外と少ない。

 

忙しいのと同時に、今の仕事をやりながらその中で自分を伸ばすことに熱意が持てていないのかもしれない。

私は、自分の「棚卸し」を定期的にすることを勧めている。

 

自分のことは、意外に自分では見えないものだ。

「何がやりたいのか」「何ができるのか」そして、「それをやることで、自分にどんな得があるのか」つまり、この道で本当に稼げるようになるのかを、常に考えて欲しいと思っている。

 

さらに言うと、多くの人が、自分をどうやって伸ばすのか、どうしたら効果的に自分を強化できるのかを知らない。

一生懸命仕事をする、たくさんの情報をインプットする、とにかく出来ること、好きなことを一生懸命やれば、きっと結果はついてくるだろう、という感じなのではないか。

 

単純なことだが、まず自分の実力、現状を客観的に的確に把握することがとても大事で(As-Is分析)、次に、自分がどうなりたいか、どのくらい、どうやって稼ぎたいかという目標設定も同様に重要だ(To-Be設定)。

 

そして、この現状と目標のギャップをどうやって効果的に埋めて行くかが、エンジニアが持つべき戦略となる。

 

若いエンジニアと話をすると、自分はとにかく技術を伸ばしたい、と言い、マネージメントには興味がない、とい言うケースがとても多いように感じる。

 

冒頭の3つの稼ぐ方法の一番目を、この時点で放棄しているように見える。

そしてこの考えは、単にこの一番目を放棄しているだけでなく、実は2と3に対しても大きなマイナスになっているのだ。

 

高い地位に就く、他社で通用する、そして今の企業の業績を上げる、このどれも、一人一人の技術力アップだけでは達成できないのだ。

 

戦略的に勉強しよう

 

本はできるだけたくさん読むのがいいだろうと思う。

いい本もあれば、そうでもないものもある。たくさん読んで、いいものから必要なものを吸収すればいい。

 

ただ、これは頭に入れてほしい。同じ本を読んでも、何をどれだけ吸収できるかは、人によって非常に大きな差があるということだ。

 

「読書」を否定しない。でも何をどう学びたいか、その学びを体に染みつけるために何をやるかは知っておいた方がいい。

 

目標設定は非常に重要だ。

ハーバード大学の調査で、大学在籍中に人生の目標を持っていなかった人は、全体の84%で、この人たちの年収を”1”とすると、目標を立てていた人の年収はその2倍、さらに、目標を紙に書いていた人の年収は、10倍だそうだ。

 

人生の目標を絶対に立てよう。

 

そして、その目標に、自分自身の「稼ぎ」を意識しよう。

 

さらに、その目標、稼ぎの先にある社会への貢献など、人生の目的を入れよう。

できるだけ、志高く目的を設定すると、人生は楽しくなるものだ。

 

今、所属する企業の収益を上げる、という目的はまだまだ小さいかもしれない。

日本企業全体を強くするとか、日本中の体の不自由な人に少しでも楽で生きがいのある生活環境を作るとか、できるだけ大きな目標を立てよう。

 

その下の階層に、その目的を達成する指標として、まずは今の会社の収益を上げるとすると、人生はこれまで以上に生き生きしてくるはずだ。

 

そしてこれがエンジニアの二つ目の「稼ぐ」力だ。

 

志高い目的と目標を立てることが出来ると、そこに到達するためには、具体的に自分がどう変わらなければならないかが見えてくる。

 

技術力はエンジニアにとって第一優先かもしれないが、その技術力や優れた技術で日本を、あるいは世界を変えるためには、他人を巻き込んで実現する”力”が必要だ。

 

私が多くのエンジニアに不足していると思うのは、”国語力”だ。

国語力というと漠然としているので、もう少し具体的に見ると、

”本質”を読み解く力だ。

”抽象度”をレベルを変えて物事を見力だ。

顧客の立場で顧客を語る”ストーリー力”だ。

シンプルに的確にそして迅速に物事を読みとく”論理思考力”だ。

なぜなぜを繰り返して、真実に迫る”質問力”だ。

 

私はこの5つの力をエンジニアの基礎脳力として身につけてほしいと思っている。

 

この力を身につけると、会社の中で起こっていること、世の中で起こっていることを客観的に的確にそしてシンプルに捉えることができる。

 

報告書を一所懸命に作って上司に持っていくと、想定外の質問や指摘を受けて、打ちのめされてかえって来るという経験はないだろうか?

 

上司は、人の悪いところを指摘すればいいんだなんて、恨めしく思う前に、自分の見てる視点の狭さを反省すべきだ。

 

これは立場が与えてくれる場合もあるが、訓練で強く出来る。

 

論理思考力、本質力、抽象化力、ストーリー力、質問力をつけながら、技術レベルだけでなく、仕事をこなす、そして最終的に「稼ぐ」力を身につける勉強を戦略的にしてほしい。

 

私が目指す、エンジニアが自身の力とネットワークで強くなるための仕掛けは、この5つの力を身につけるところから始めたいと思っている。

 

https://futureship.biz/lp/

 

 

 

 

 

 

人生100年時代、シニア活用の道

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人生100年時代、60才定年はもはや時代に合わない。

かといって、ベテランが幅を利かせすぎると若い人が伸びるチャンスを圧迫する。

企業も、片方では人手不足を抱えながら、もう一方では人件費を適正に抑え、人材の新陳代謝を維持しなければならない。

 

今、多くの企業が「働き方改革」なるものに挑んでいて、女性活用やシニア活用ということもひとつのテーマになっているようだ。

 

しかし、掛け声とは裏腹に、政府の制度も形ばかりが議論され実体がないし、企業側も裏腹の事情がたくさんありすぎて、すんなりは進まない。

 

しくみや制度を待ってはいられない。

個人として、人生100年時代の人生設計をしなければならない。

 

簡単なことだ。自分で一歩を踏み出せばいい。

 

KDDI総研がまとめたレポート「人生100年時代の働き方戦略」によると、定年を迎えると、51.5%が再雇用で同じ会社に継続勤務し、29.2%はいったん無職になるというデータがある。

起業、その他自分で仕事をする人の割合は、わずか3.8%だそうだ。

 

私自身は、大企業に勤めていたときに、オープンイノベーションを進める組織で、ベンチャー企業にお金だけでなく、人的な投資をするしくみとしてシニア活用を考えたことがある。

そのときのひとつの肝は、30年近く一つの会社で働いていたベテランをベンチャーや外部の会社に出せるかということであった。

 

再教育というか、起業家魂や会社経営、運営について、少しトレーニングをしてから出すようなことを考えて、「おっさん再生プログラム」という名前を付けて活動してみたことがある。

 

ベンチャーキャピタルの社長さんなども賛同してくれたが、企業側の人事は腰が重い。企業の経営層は、反対する理由もないが、特に積極的な支援はしない。

 

そうこうしているうちに、私自身が定年退職を迎え、私の意志を引き継ぐ人材も、組織としての後押しもなく、この「おっさん再生プログラム」は頓挫することになる。

 

実は、裏話をすると、私はこのプログラムで、一人のシニアをベンチャーに送り出すことに成功したことと、何を隠そう、私自身の起業後のクライアントをこのプログラムをやりながら獲得することができたのだ。

 

私は、開発部門の責任者などをしていたが、58才半年で役職を返上することになった。

もともといずれ自分で起業することは決めていたものの、重い仕事を任せていただいている間は、精一杯仕事をした。

 

でも、役職返上でスイッチを入れ直して、失礼ながらしたたかに、仕事はそこそこに、起業準備をメインで1年半を過ごした。その結果、定年退職日の3か月前に会社を設立し、シームレスにサラリーマンから起業家へのシフトをすることができた。

 

前述の「おっさん再生プログラム」も、もちろん会社のため、会社であまり幸せでないシニアのため、ということで進めていたのだが、かなりの部分は自分の起業後を見据えたことでもあった。

 

果たして、会社はこのプログラムの継続しないとなったので、今、考えているのは、そろそろ時効なので、私がこれを自分の会社の仕事として再開することだ。

 

日本人は正義感が強いが、私はこれからもしたたかに生きたいし、多くのシニア、シニア予備軍の人たちにも同様にしたたかに人生を考えてほしいと思っている。

 

私の人生の主たる目的は、若いエンジニアの育成を支援し、日本の製造業を再び強く蘇らせることだ。

 

しかし、その目的のため、シニアの力を借りたい。

シニアの暗黙知を引き出して、その知識、技術、経験を若い人につなげるプラットフォームを創りたいと思っている。

 

賛同者がいれば募りたい。

admin@futureship.jp

 

また、参考に、若手エンジニア向けの育成をやっているHPも紹介しておく。

https://futureship.biz/