技術者として会社に飼い殺されないために
「自分の技術力を伸ばしたい。」
多くのエンジニアは、技術力向上を切望している。
どうやって技術力を磨いていくか、というと、いい仕事をしながら自然と技術が身に付くというのが一番効率的だ。
でも、仕事は選べないとなると、いい仕事についてる他人がうらやましく見えたりすることもある。
なんだか忙しいけど、自分が伸びてる感じがしない、というケースも多い。
毎日、雑用やら、振り返るとあまり意義を見出せない打ち合わせばかりで一日が終わってしまう。
そういう一日をずっと続けていると、一年二年があっという間に過ぎて、自分は何をしているのだろう、と運のいい人はあるときに気付いたりする。
さて、自分を守るのは自分しかいないということに気付いてほしい。
忙しい職場だから、近くの先輩、上司、同期や後輩しか普段は見えない。
なので、みんなが同じような状況だからと安心してしまうのかもしれない。
見てほしいのは外の世界だ。
好きなことを好きなようにやって、技術力をすくすくと伸ばしている輩は山のようにいて、自分の会社からは見えないだけなのだ。
長い間、ひとつの製品群を持続的に進化させている企業では、技術者もなかなかいい仕事には巡り合えない傾向がある。
システムが、不必要に複雑で肥大になり、すべてを知っている人間がだんだんいなくなっている世界がそこにはある。
そう、すべてを知らない先輩に教わることほど不幸なことはない。
そして自分もすべてを知らないまま後輩に教えることになる。
すべてを知る。
つまりこれは、自分が担当している製品のアーキテクトになるということだ。
パーフェクトを目指す必要はない。自分の担当モジュールしか知らないところから、隣のモジュールとの連携、その上の階層の全体像を把握する。というように段階的に上位層から担当モジュールを語れるようにする。
簡単な話だ。
興味を持てばいい。
忙しくても興味を捨てないことだ。
新人が入ってきたり、新しい同僚がきて何かを聞かれたとき、答えられなかったことを放っておいてはいけない。
なぜ、自分はその疑問を持たなかったのか、あるいは疑問を持っていてもそれを解決しなかったかを、しっかりと振り返ることが大事だ。
無知なことに興味がなくなったら、エンジニアとしては失格だと思わなければ、技術力が伸びていないことを会社のせいにすることから逃れられない。
あまりにも多くの無知を放置してきたので、もう今さら聞けない、ということかもしれない。
しかし、それを更に放っておくと、エンジニアとしては先がないだろう。
ひとつ方法がある。
わからないもの同士を集めて、「勉強会」という名前にして、「今さら聞けない」を帳消しにしてしまうことだ。
これは結構、有効だと思う。
私もこれをやって何度も難局を切り抜けてきた。
「勉強会」とは、素敵な言葉だ。
私は、今は教える方が主だが、教えられる方でもたくさんの「勉強会」に参加している。
勉強したいという熱を持った人たちの集まりは、実に効率的に勉強が進む。
「技術力を上げる」という言葉だけでなく、「勉強」するための行動を起こせば、会社に飼い殺しになる危険を避けられるはずだ。